キッチン 食洗機

ビルトイン食洗機の取付けは自分で出来るのか、交換・後付け・新規設置について解説します

2022年3月30日

筆者宅のビルトイン食洗機

今回のテーマはビルトイン食洗機の設置について

ビルトイン食洗機って、自分で交換とかできるのかな?
でも、水とか電気とかちょっと怖いんだよね…

食洗機っていろんな種類があるって聞いたけど、うちに付けられるのはどの種類なんだろう?

「ビルトイン食洗機って、自分で取り付けたり交換できるのかな……?」

そんな疑問をお持ちの方、実はとても多いんです。

卓上タイプならすぐに設置できるかもしれないけど、場所を取るし見た目もイマイチ

キッチンをスッキリさせたいなら、やっぱりビルトインタイプにしたいところですよね。


そこで本記事では、実際に住宅設備の現場でビルトイン食洗機を設置しまくっている筆者が

  • 自分で取り付けや交換はできるのか?
  • 後付け・新規設置の難易度と注意点
  • 失敗しないためのリアルなアドバイス

こちらを、わかりやすく解説していきます。

DIY初心者の方も安心して読み進めてくださいね!

本記事の信頼性

この記事は、住宅設備の現場に15年以上携わり、数百件以上の設置・交換を行ってきた筆者が執筆しています。

第二種電気工事士・給水装置工事主任技術者の資格を持ち、電気・水道の知識を踏まえた正しい施工や注意点を解説。

さらに、実際に設置・使用している立場から、現場目線 × 利用者目線でリアルなレビューと選び方のポイントをお届けします。

ビルトイン食洗機の取付けは自分でできるのか?

食洗機設置前の様子
食洗機設置前の様子

仕事をしているとビルトイン食洗機の取付けは自分でできますか?と、DIY好きの方からたまに聞かれます。

結論としては、場合によるとしか言えません!

交換であればまだ簡単な方ですが、後付けともなると難易度が上がってしまいます。

🔍 工事の種類と難易度(交換/後付け/新規)

  • 交換
    →同じ種類の食洗機であれば比較的簡単◎。違う種類にしたい場合は△
  • 後付け
    →キッチンに食洗機用の設備(給水、排水、電源)が用意されていれば、種類によっては簡単◎
  • 新規
    →キッチンを丸ごと交換するようなリフォームの場合は、キッチン業者が設置まで対応するのが一般的なので、DIYで行うことは少ない

👉 以下は工事パターン別の難易度イメージ表です。
状況によって変わる部分もありますが、目安として参考にしてみてください。

🔍 設置に必要な知識(資格)

  • 給水、排水の知識
    水の供給と、排水する先が必要。漏れがあった場合、自己責任となることを考慮
  • 電気の知識
    コンセントの増設が必要であれば、電気工事士の資格が必要

💡 筆者の見解

表で書いてはいますが、キッチンの状況によって難易度は変わりますし、必ず設置ができるとは言えないのが食洗機です。比較的新しいマンションでの交換や、キッチン交換の際に導入する場合はプロが対応するので問題は少ないですが、DIYで後付けが一番ややこしいことが起こりがちです。

正直、「交換(食洗機のタイプ変更なし)」以外はプロに頼んでほしいと私は思います。

交換だけなら自分でできるケースもある

交換後の食洗機

交換の中でも唯一難易度が低いのが、ミドルタイプ(浅型)→ミドルタイプ(浅型)への交換です。

同じメーカーの後継機種を選択すれば、より簡単に感じると思います。

🔍 交換後の機種を選ぶ基準

  • 同じメーカー(設置されている食洗機の後継機種で選ぶと◎)
    →撤退しているメーカーもある
  • 同じタイプ
    →スライド型ディープタイプ(深型)、フロントオープン型ディープタイプ(深型)、ミドルタイプ(浅型)の3つが基本
  • 同じサイズ
    →幅45cmと幅60cmがある。ほとんどが45cm

DIYで設置する場合は、上記を守りましょう。同じじゃ嫌だ!という方はプロに頼むことをおすすめします。

🔍 実際に自分で交換した事例

交換前
交換後

ミドルタイプ(浅型)の同じサイズであれば、上記のように交換が容易です。※画像の角度がおかしくてすみません

取り外す際は、品番で施工説明書をダウンロードできる場合がありますので、施工手順とは逆を実施するとよいです。

新しい食洗機の施工説明書も参考になると思います。

🔍 必要な工具と注意点

最低限必要な工具は、

  • プラスドライバー
  • モンキーレンチ

上記があれば、時間をかければなんとか交換ができます。

あった方が良い工具としては、

  • 電動ドライバー(インパクトドライバーの方が○)

食洗機を固定する金具を設置する際に、手動だときついです。既設品と同じ穴を使えれば手動でもなんとか大丈夫です。

💡 筆者の見解

上記の例で示したケース「ミドルタイプ(浅型)の同じサイズ」の交換であれば、経験が少なくても工具さえあればできるでしょう。ただし、特に注意が必要なのが給水管。モンキーレンチで食洗機を外そうとしたときに、給水管が折れて水漏れ!なんてケースもありました。ですので、作業中は必ず水の元栓は閉めてください。
しっかりとリスクを理解したうえで進めてください。

コンパクトタイプとディープタイプ

ビルトイン食洗機は大きく分けて、コンパクトタイプディープタイプの2種類があります。

簡単に説明すると、その名の通りディープタイプよりも洗浄のスペースが小さいのがコンパクトタイプです。

コンパクトタイプ食洗機
コンパクトタイプ食洗機

本体の寸法自体も小さいため、ディープタイプと比べると設置できる可能性が高くなります。

コンパクトタイプは以下の理由で取り付けることが多いです。

  • 食洗機の下に収納が欲しい
  • ディープタイプが設置できないキッチンである
  • シンク下にしか設置できるスペースがない
  • 洗いたい食器が少ない

戸建ての建売や新築マンション、リフォーム済み物件ではコンパクトタイプが設置されているケースが多いです。

食洗機を使用したことが無い方であれば、食洗機が付いてて嬉しい!と思うかもしれません。

しかしながら食洗機を常用している筆者からすると、小さいから洗えない物が多いなぁと感じます。

筆者は夫婦子1人の3人暮らしですが、ディープタイプでギリギリ洗える量の洗い物が出ます。

そんなに何を洗っているんだ!と思うかもしれませんが、調理道具も洗いたいし、お弁当箱も水筒も洗いたい、できれば全部洗いたいんです。

筆者のような1回の洗浄で済ませたいズボラ人間には断然ディープタイプをお勧めします。

コンパクトタイプしか選べない場合は、是非食器の買い替えを検討してみてください。

カタログのように食器を入れる事が出来れば容量不足も気にならなくなると思います。

スライドオープンとフロントオープン

さらにディープタイプの中でもスライドオープンフロントオープンがあります。

日本の主流はスライドオープンで、引き出しのように引っ張って空けます。

スライドオープン食洗機
スライドオープン食洗機

フロントオープンは、扉が前に倒れて開きます。ガスオーブンのような開き方ですね。

洗える容量がフロントオープンの方が大きいからか海外ではフロントオープンが主流みたいですね。

フロントオープン食洗機
フロントオープン食洗機

好きな方を選んで構いませんが、フロントオープンの国産はリンナイの1機種しか存在しません。

海外製であれば複数存在しますが、海外製に則した給排水電源が必要のため、DIYを考えている方には難しいでしょう。

確実に追加費用が掛かる事もあるのでトータル30万円越えは考えておいた方が良いでしょう。

ではリンナイのフロントオープンならDIY出来るのか?ですが、できなくはないけど難易度は高いです。

給排水管位置がシビアなのでかなり手こずるはずです。

その点スライドオープンであれば、配管スペースが大きいので工事が簡単です。

配管をいじるような事に慣れていない方は、スライドオープンを選んだ方が無難です。

また、業者に依頼する場合でも、給排水の改修が必要となるため、追加費用がかさみがちなのもフロントオープンですね。

ケース1.キッチン交換時の際に食洗機を設置する

DIYでキッチン交換をする人は少ないでしょうから、業者に頼むことを前提にしますね。

キッチン交換を考えていて、食洗機の導入もするのであれば、どんなタイプでも設置が可能です。

基本的にディープタイプであれば、食洗機の下部は配管スペースとして使用しているのでデッドスペースとなってしまいます。

しかし、キッチンのオプションとしてであれば、食洗機の下部を収納にすることもできます。※メーカーによって異なる

ディープタイプを設置して、しかも収納があるので最高なのですが、なぜだかキッチンのオプションとしてしか販売されていません。

もしも選んだキッチンで「ディープタイプ+下台収納」が選べるのであれば、間違いなくこれが一番おすすめです。

ただし、収納と言っても容量は小さいのであまり期待しない方が良いでしょう。

また、海外製を付けたいのであれば、キッチン交換時が最適です。配線とか業者がやってくれますからね。

ディープタイプ食洗機+下台収納
ディープタイプ食洗機+下台収納
下台の中身。ろくなものが入っていません
下台の中身。筆者宅ろくなものが入っていません

ケース2.既存のシステムキッチンに食洗機を後付けする

新築マンション等であれば給水、排水、電源が揃っている場合が多いですが、建売りの戸建てでは設備が整っていない場合が多いです。

そんな時は新たに設備を作る必要がありますが、今回は設備があるものとして話を進めていきます。

また、紹介するいずれの方法もキッチンを傷つける恐れがあるので、自信のない方にはDIYをおすすめしません。

ディープタイプ

ディープタイプを取り付けるには45cm幅の空間が無くては入れることが出来ません。

よくある例では、3列の引き出しがあるキャビネットを食洗機に変えるケースです。

引き出しを外してみて幅を確認してみましょう。大体42cm位のはずです。

これでは45cmのビルトイン食洗機が入りません。

ではどうすればよいかと言いますと、引き出しが収まっていた枠を破壊して取り外す必要があります。

そうすれば45cmを確保できます。

慣れていればキャビネットを破壊するのは屁でもない事ですが、本当に壊してよいのか不安になりますよね。

不安すぎて出来ない場合はDIYは止めておきましょう。

ディープタイプ食洗機
ディープタイプ食洗機。下部は配管スペースとなっています
配管スペース
配管スペース。物は入れてはいけません

コンパクトタイプ+下台収納

新たに下台収納を購入し、その上にコンパクトタイプの食洗機を置く方法です

別途購入する下台収納は45cm幅のため、この場合もディープタイプ同様にキャビネットを破壊する必要があります。

下台の表面のはパネルを取り付ければ変えられますが、パネルが用意できない場合はキッチンの景観を損なう可能性がありますね。

コンパクトタイプ+既存の引き出しを1段残す

2段または3段の引き出しの、一番下の段を残してその上に食洗機を置く方法です。

この方法の場合は、キャビネットを壊して取り出す必要がありません。

なぜならコンパクトタイプの幅は42cmもないからです。

引き出しとレールを外せば、コンパクトタイプがすっぽり収まります。

しかしながら、既存の引き出しは高さが合わないため、加工が必要になります。

また、食洗機を置くための台を、残す引き出しの上に取り付ける必要もあります。

加工は大変ですが、既存の引き出しが使えるのとキャビネットを外してスペースを作る必要がないため、景観を損なわずに取り付けが出来ます。

次の画像は、食洗機を設置することを想定したキッチンの例です。

扉を外せばコンパクトタイプがすっぽり入る寸法になっています。こうなっていれば加工は必要ありません。

要は、この状況を加工して作る必要がある、という事です。

食洗機スペースが確保されていたキャビネット
食洗機スペースが確保されていたキャビネット

ケース3.既存の食洗機を交換する

既存の食洗機を交換するん場合は、給水、排水、電源はそのまま再利用するため、比較的容易に交換が可能です。

必要な工具も次のリストがあれば事足りる場合が多いです。

  • プラスドライバー
  • モンキーレンチ × 2本
  • 電動ドライバー(あれば楽です)

コンパクトタイプからコンパクトタイプ

このケースが一番簡単です。

実際自分で交換して簡単だったと言っている方々はこのケースが多いですね。

ただし、シンク下に取り付けていた場合は、奥行き寸法上機種が限られてきますので注意してください。

コンパクトタイプからディープタイプ

より大きい食洗機を使用したい場合は、ディープタイプに変更しましょう。

現状食洗機の下にある収納を撤去すればディープタイプが設置可能です。

収納が減るので、荷物の移動先を考えておく必要がありますね。

ディープタイプからディープタイプ

スライドオープンで交換であれば、比較的容易に取り付けが可能です。

しかし、スライドオープンからフロントオープンにする場合は、給排水を別の場所に移動する必要が出てきます。

これがフロントオープンの厄介な所です。

私の経験上、DIYでのフロントオープンへの交換は難易度が高いためおすすめしていません。

ディープタイプからコンパクトタイプ

食洗機の容量を減らしてでも収納を作りたい方はコンパクトタイプにしても良いでしょう。

しかしながら食洗機下の収納は使いづらい上に小さいので、あまりおすすめしていません。

別途下台を購入する金額もかかりますのでコストも上がります。

例外その1:幅30cmの食洗機を交換したい

古い食洗機には幅が30cmしかない物もあります。

現状では30cmの物は製造されておりませんので、30cm幅のキャビネットに入れ替えて収納を増やすか、

もしくは別の45cmキャビネットを撤去してしまい、45cmの食洗機と30cmのキャビネットを入れるかです。

例:30cm食洗機+45cmキャビネット → 30cmキャビネット+45cm食洗機 

あまりない例ですが、工事自体は可能です。

費用がかさむ上、キャビネット容量が小さくなるので使い勝手は悪くなるでしょう。

キッチン交換をおすすめします。

例外その2:トップオープンの食洗機を交換したい

キッチンの天板に食洗機用の穴が開いていて、その穴から食器を入れるタイプです。

トップオープンは製造されておりませんので、コンパクトタイプかディープタイプに変更する必要があります。

また、天板に空いている穴に蓋をしなければいけませんが、専用の部材が販売されていますので問題ありませんが、

DIYの難易度は格段に上がります。

寸法の関係上コンパクトタイプであれば簡単に取り付け可能です。

※トップオープンはキッチンの端にある場合が多く、ディープタイプの設置に適さない場合があります。

まとめ:同じタイプの交換は難易度低め。後付けは難易度高め

記事の要点を次にまとめました。

  • ビルトイン食洗機の種類
    • コンパクトタイプ、ディープタイプ(フロントオープン)、ディープタイプ(スライドオープン)がある
    • 設置が可能であれば、容量が大きいディープタイプをおすすめ。家族持ちなら尚更です
  • ケース1.キッチン交換時の際に食洗機を設置する
    • ディープタイプ+下台収納がおすすめ。フロントオープンでは下台は不可能。
  • ケース2.既存のシステムキッチンに食洗機を後付けする
    • どのケースもある程度のキッチンに対する知識が必要なのでDIYはおすすめしません
    • ◎「ディープタイプ」 → キャビネットの撤去が可能であればディープがおすすめ
    • 「コンパクトタイプ+既存の引き出しを1段残す」 → キャビネットの撤去が不要。下台収納よりは見た目が良い
    • △「コンパクトタイプ+下台収納」 → 収納とは言っても容量が少ないので可能であればディープがおすすめ
  • ケース3.既存の食洗機を交換する
    • ○コンパクトタイプからコンパクトタイプ → シンク下に設置する場合は本体の奥行きに注意
    • ◎コンパクトタイプからディープタイプ →  収納は減るが食洗機容量はアップ
    • ◎ディープタイプからディープタイプ →  フロントオープンの交換は難易度高め
    • △ディープタイプからコンパクトタイプ →  下台が必要だが収納能力は低いのでディープのままがおすすめ

結論としましては、交換であればDIY可能だが、後付けは難易度が高いのでおすすめは出来ない、という事になります。

自分が素人だった時のことを考えると、キッチンの知識無しで後付けはできそうにもないなぁと感じた次第です。

交換であれば、特別な工具が無くても出来ますのでチャレンジしてみてもいいと思います。

くれぐれも水漏れにはご注意ください。

以上です。

是非参考にしてみてください!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
アバター画像

nosushi

住宅設備工として15年以上、現場での提案・設置・交換を行ってきました。 給湯器・水栓・トイレ・換気扇・食洗機など、住設機器の選び方や取り付け方を、現場経験を活かしてわかりやすく解説します。 所持資格:第二種電気工事士、簡易内管施工士、給水装置工事主任技術者、他多数。

-キッチン, 食洗機