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タンクレストイレのデメリット7つ|工事士が見た「後悔する人・しない人」

サムネイル タンクレストイレのデメリット|後悔する人・しない人

今回のテーマは【タンクレストイレのデメリット】

ショールームで見たタンクレス、すごくよかったんだよね。でも「後悔した」って記事も多くて、うちに設置して大丈夫なのか分からないわ…

そんな疑問をお持ちの方、実はとても多いんです。


そこで本記事では、

  • よく挙がるデメリット7つのうち、しっかり確認しておきたい3つはどれか
  • 「水圧・停電・修理」の事と、あなたの家で使えるかの判定方法
  • 「トイレ工事の追加費用」について

をわかりやすく解説します。

本記事の信頼性

この記事は、住宅設備の現場に15年以上携わり、数百件以上の設置・交換を行ってきた筆者が執筆しています。

第二種電気工事士・ガス機器設置スペシャリスト・排水設備主任技術者の資格を持ち、電気・ガス・排水の専門知識を踏まえた正しい施工や注意点を解説。

実際に設置・使用している立場から、現場目線 × 利用者目線でリアルなレビューと選び方のポイントをお届けします。

📋 この記事はこんな方に向けて書いています

  • タンクレスにするか、タンク付きにするかで迷っている方
  • マンションの上階、または戸建ての2階・3階のトイレを替えたい方
  • 見積書の金額どおりで本当に終わるのか不安な方
  • 「デメリット7選」を読んだけれど、自分の家に当てはまるのか分からない方

結論:デメリットは7つある。でもしっかり確認しておきたいことは3つだけ

タンクレストイレのデメリットは、どのサイトでもだいたい同じ7項目が並びます。ただ、実際に据え付けている側から見ると、購入後に本当に確認しておきたい3つだけです。残りは条件次第だったり、そもそも誤解されていたりします。

その前に、はっきり言っておきたいことがあります。タンクレストイレは、いい商品です。

掃除のしやすさは圧倒的:タンクの裏側にある、あの拭きにくい隙間がまるごと無くなります。

空間が広く使える:タンクの分だけ本体を後ろに下げられるため、狭いトイレほど効果を感じます。

高級感は別次元:カタログの写真と、実際に据わっているのを見るのとでは印象がまったく違います。

言ってしまえば、タンクレスは高級車と同じです。維持費はかかりますが、それに見合う快適さとデザインがあります。費用の構造を知ったうえで買うなら、後悔しません。予算と水圧がクリアできるなら、最高の選択肢であることは間違いありません。問題は、そこを知らないまま見た目だけで決めてしまうことです。

🔍 デメリット7項目|施工する側から見た3段階の判定

デメリット判定ひとこと
水圧が足りないと流れない本当マンション上階・戸建て2〜3階は要実測
壊れたとき安いウォシュレットに替えられない本当便座だけの交換ができない
工事で想定外の追加費用が出る条件次第しっかり見積で確認すること
手洗い器が別途要る条件次第既にある、または不要な場合は問題なし
設置場所の制限条件次第排水芯・給水位置によるが、タンク付きでも同じ
停電時に使えない誤解ありメーカーにより異なる
電気代がかかる影響は小さい※正確な電気代はわかりません

そしてもうひとつ。カタログにも見積書にも載っていない「工事の想定外」が、いちばん揉めます。後半で実際の現場写真を出しながら解説します。

タンクレストイレに交換した後、以前の便器の設置跡が床に出てしまっている様子
交換後に前の便器の跡が出てしまった現場。詳しくは記事後半で解説します

🔍 先に結論|こういう方なら、タンクレスで後悔しません

判断の軸だけ先に出しておきます。次の3つに当てはまる方なら、タンクレスを選んで問題ありません。

  • トイレが広く、別の場所に手洗いがある
  • 高級感やデザインに、はっきり価値を感じる
  • 「10年後に壊れたら買い替えればいい」と割り切れる

逆に、ひとつのものを長く、安く使いたいという方には、私はタンク付きの組み合わせ便器をおすすめしています。理由はこの記事を最後まで読んでいただければ分かります。

💡 筆者のひとこと

デメリットを7個並べた記事はいくらでもありますが、現場で「これは確認が絶対に必要」と感じるのは正直この3つだけです。住宅設備工事士として15年以上やってきて、お客様から後になって聞く不満も、だいたいこの3つです。

【確認①】水圧|「うちは足りる?」を判定する方法

タンクレストイレは、基本的に水道の圧力でそのまま流します。だから水圧が足りない家では、流しきれないという事態が起こります。ここは機種選び以前の話で、設置してからでは取り返しがつきません。

🔍 タンク式とタンクレスでは、水の流し方がまったく違う

タンク式は、いったんタンクに水を溜めて一気に流します。溜める時間さえあれば、水圧が低くても流す力は確保できます。

タンクレスには、その「溜めておく場所」がありません。水道から来ている圧力が、そのまま洗浄の力になります。だから水圧が低いマンションの上階や、戸建ての2階・3階では足りなくなることがあるのです。ただし、すべての機種が単純な水道直圧というわけではなく、機種によっては補助のタンクや加圧ポンプを併用するタイプもあります。

タンク式は水を溜めて落とす方式、タンクレスは水道の圧力で直接流す方式であることを示した比較図
タンク式は水を溜めて落とす方式、タンクレスは水道の圧力で直接流す方式であることを示した比較図

メーカーの公表値も見ておきましょう。TOTOのネオレストの場合、最低必要水圧は0.05MPa(流動時)とされています。大事なのは「流動時」という条件で、蛇口を閉じた状態ではなく水を出している状態での圧力を指します。

🔍 業者は下見で何を見ているのか

タンクレスを入れる現場では、下見のときに給水管を外して、1分間でどれだけ水が溜まるかを実際に測ります。合格ラインは感覚ではなく、機種ごとの施工説明書に必要な流量や水圧が書かれているので、カタログと施工説明書の両方を見て判断します。

正直に書くと、水を出してみて「これなら大丈夫だな」と分かる感覚のラインもあります。ただ、これは言葉にするのが難しい。だからこそ数値で確認する手順が要ります。

カタログ値ぎりぎりの家は要注意:0.05MPaは最低ラインです。ぎりぎりだと、朝など給水が集中する時間帯に流れが弱くなることがあります。実際に、同時に何か所かで水を流しながら使った時に、トイレでは流しきれずクレームになったケースもありました。

🔍 読者の方が自分でできる、安全な事前チェック

必ずお読みください

給水管や止水栓を、ご自身で外さないでください。 水が止まらなくなる、ネジ山を潰す、パッキンが劣化していて締め直せない、といった事態から大きな漏水事故につながります。マンションであれば階下漏水で損害賠償になり得ます。 水圧の実測は、必ず業者の下見でやってもらってください。

そのうえで、給水管を外さずにできる確認はあります。買う前に当たりをつけたい方は、次を試してみてください。

  • 10Lのバケツが何秒で一杯になるか測る:トイレと同じ階の洗面やシャワーを全開にして計ります。数字が残るので、業者と話すときの材料になります
  • 同時に使ったときに落ちるか:台所と同時に出して、勢いが明らかに落ちるかを見ます。朝の混む時間帯でも試してください
  • 今のタンクが溜まる時間:既存がタンク式なら、水が溜まりきるまで異常に時間がかかっていないかを確認します
  • 集合住宅なら給水方式を聞く:管理会社や管理組合に、直結増圧か受水槽かを確認しておくと話が早いです

ただし、これらはあくまで目安です。確定判定は業者の実測でしかできません。見積もりのときに「うちの水圧を測ってから見積もってください」と伝えてください。測らずに「大丈夫ですよ」と言う業者には、一筆書いてもらうなどしましょう。

🔍 低水圧でも置けるタイプはある。ただし高い

水圧が足りない家に、まったく手がないわけではありません。TOTOのネオレストは「ハイブリッドエコロジーシステム」を搭載しており、水道からの圧力と内蔵タンクの加圧ポンプによる流れを組み合わせて洗浄します。メーカーは、最低必要水圧を満たしていれば2階・3階や高層マンションでも設置できるとしています。

ただ、この手のタイプは価格が上がります。そこまでの予算を出すなら、タンク付きのほうが安く済みますし、私はそちらをおすすめします。水圧で悩んでいる時点で、無理にタンクレスを選ぶ理由は薄いかなというのが正直なところです。

💡 筆者のひとこと

カタログの0.05MPaは、あくまで最低ラインです。ぎりぎりの家は、朝の混み合う時間に「あれ?」となります。下見で水圧を測ってくれる業者かどうかは、私が施主なら必須条件にします。
水圧が無くて断ったケースはそんなに数はないですが、しっかり確認しておかないと長年のストレスとなります。

【確認②】壊れたとき、安いウォシュレットに逃げられない

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。タンクレスは一体型なので、洗浄機能だけが壊れたときに、市販の安いウォシュレットへ載せ替えるという逃げ道がありません。買った瞬間ではなく、10年ほど経ってから出てくる問題です。

🔍 タンク式なら、ウォシュレットだけを数万円で替えられる

タンク付きの組み合わせ便器は、便器・タンク・ウォシュレットがそれぞれ別の商品です。だからウォシュレットが壊れたら、その部分だけを買ってきて交換できます。予算が厳しければ機能を落とす、余裕があればグレードを上げる、という選択も自由です。

→ この交換は条件が合えばご自身でもできます。手順や必要な条件はウォシュレット交換は自分でできる?で解説しています。

🔍 タンクレスは「純正の取替機能部」しか選べない

ただし、タンクレスでも、本体をまるごと買い替えるしかないわけではありません。TOTOには「ウォシュレット一体形取替機能部」という商品があり、便器はそのまま残して機能部だけを交換できるようになっています。専用のカタログも用意されています。ただし、条件がつきます。

すべての品番に用意があるわけではない:TOTO自身が「一部ウォシュレット機能部は、お使いの便器を残して取替機能部に交換できますが、ご準備のない場合もございます」と案内しています。

便器側が原因の不具合は直らない:機能部だけを替えても、便器そのものに起因する不具合は解決しません。その場合は器具一式の交換になります。

つまり「交換できない」のではなく、「選択肢が純正の取替機能部だけに絞られる」ということです。家電量販店で2万円台のウォシュレットを買ってきて付ける、という選択肢が消えます。ここが、長い目で見たときの差になります。

また、部分的な交換は高価になりがちです。全交換した場合との金額差も確認しておきましょう。

🔍 部品はいつまで手に入るのか

「部品が無くなって直せなくなるのでは」という不安もよく聞きます。TOTOが公表している補修用性能部品の最低保有期間を見てみましょう。

区分最低保有期間
大便器生産終了後10年(洗浄関連部品は15年)
ウォシュレット(単体)生産終了後10年
ウォシュレット一体形便器(2020年4月以降に生産終了)生産終了後15年
ウォシュレット一体形便器(それ以前に生産終了)生産終了後10年
ウォシュレット一体形取替機能部生産終了後6年

注目していただきたいのは、いちばん下です。救済手段である取替機能部そのものの部品保有は、6年しかありません。「機能部を替えれば長く使える」は、思っているほど長くない、というのが数字から見てもわかります。

使用期間の目安も出ています。ウォシュレットおよびウォシュレット一体形は想定安全使用期間10年、大便器は15年です。陶器の部分は長持ちしますが、電気で動く部分は10年が目安と考えておくと計算が立ちます。

タンク式はウォシュレットだけを交換できるが、タンクレスは純正の取替機能部か器具一式の交換になることを示した分岐図
10年後の分かれ道。選択肢が残るかどうかが違います

なお、修理費がいくらかかるかについては、私は修理業務をやっていないので実際の額はわかりません。施工する側として言えるのは、その場で直ればいいけれど、後日対応になるとその間トイレが使えない点が嫌ですね。

💡 筆者のひとこと

修理をやっていないので、私に修理費の額は言えません。ただ「選択肢が減る」という点だけは覚えておいてください。10年後に壊れたらどうするか。ここを納得して選べば、後悔はしないはずです。

【確認③】工事で想定外の追加費用

タンクレスへの交換で揉めやすいのが、工事を始めてから出てくる追加費用です。見積書の金額だけを見て決めると、あとで「聞いていない」となります。実際の現場写真を出しながら説明します。

🔍 排水芯|品番シールは間違っている場合もあります

床排水の便器は、壁から排水管の中心までの距離(排水芯)で使える機種が決まります。基本は排水芯200mmか、幅広い位置に対応できるリモデルタイプのどちらかです。

床排水の排水芯位置説明
排水芯は「壁から排水管の中心まで」の距離で見ます

リモデルの対応範囲は品番ごとに違う:「リモデルなら何でも対応できる」わけではありません。対応する寸法はメーカーや品番によって変わるので、カタログと施工説明書での確認が必須です。

ここからが現場の話です。既存の便器の品番が分かれば排水芯を測らずに判断できる、というのが理屈です。ところが、品番シールには「200」と書いてあるのに、実際にはリモデル用の部品が付いていることがあります。便器そのものが複数の仕様で共用になっている場合があるからです。

つまり外してみないと分からないケースが存在します。だから私たちは、どちらにも対応できるよう両方の部材を持って現場へ入ります。持っていなければ、工事ができずに後日対応となってしまうからです。

既存の便器とタイルを撤去し、床の排水フランジがあらわになった状態
便器を外して、はじめて分かることがあります

なお、排水芯の考え方はメーカーによって差があります。多様な現場条件に対応するため品番が細かく分かれており、選定には注意が要ります。

🔍 便器の「跡」が出る|床の張り替えが必要になることがあります

あまり語られていないのに、揉めやすい話です。クッションフロアは、便器が乗っている部分には貼られていないことがあります。見えない場所なので当然といえば当然で施工不良ではありません。ところが新しい便器の接地面がずれると、その貼られていない部分が露出してしまいます。

そしてタンク付きからタンクレスへの交換は、これが起こりやすいのです。タンクが無い分だけ本体を後ろに下げられるため、設置位置が変わりやすくなります。空間が広くなるという長所と、同じ理由から生じる問題です。

タンクレストイレに交換した後、以前の便器の設置跡が床に出てしまっている様子
設置位置が変わると、前の便器の跡が出てきます

こうなると床の張り替えが必要になり、見積書には無かった費用が発生します。見積もりの段階で「床は張り替えなくて大丈夫ですか」と一言聞くだけで防げます。ただし、寸法を見てもギリギリだった場合は、張り替えなくてもいいのに張り替えることになってしまった、という事も起こりえます。

🔍 給水の位置で手間が変わる|タイルを割った話

タンクレスならではの施工もあります。TOTOのネオレストは、給水用の管を床に4点で固定します。タンク式には無い工程です。

床が木材なら問題ありません。ところがモルタルやタイルの床だと、振動ドリルが必要になり手間が一段増えます。さらに給水管の位置によって、付属の管で足りるのか別途購入が必要なのかも変わります。

実際にやってしまった失敗も書いておきます。タイルの床に給水用の金具を取り付けたところ、タイルにヒビが入りました。結果としてタイルを張り直してもらい、そのうえでダイヤモンドビットで開け直して施工しました。タイル床のトイレを検討中なら、下見のときに床の材質を必ず伝えてください。材質により工事が増えるので、追加費用となる場合がありえます。

既存の便器とタイルを撤去し、床の排水フランジがあらわになった状態
タイルに線が走ってます。ヒビです

→ 普段どんな工具を使ってるかは住設DIYの工具ガイドで解説しています。

🔍 なぜ便器の交換は、自分でやらないほうがいいのか

便器の交換は「載せ替えるだけ」の作業ではありません。理由を具体的に挙げます。

排水芯の判定を誤ると、便器が付きません:品番シールが当てにならないため、外してから判明することがあります。部材が手元に無ければその日は使えないか、元に戻す必要があります。戻しても1度外したものは水漏れするかもしれません・・・

床下に漏れると、長く気づかれません:専門用語ですがフランジやパッキンの取り付けを誤ると、じわじわと床下へ漏れます。気づいたときには下地が傷んでいる、という事故になります。

便器は重量物です:陶器なので落とせば割れますし、床も傷めます。狭いトイレの中で扱うのは思っているより大変です。

決めるのは読者の方ご自身ですが、私としては便器の交換は業者に依頼することをおすすめします。そのぶん、業者に何を確認させるかを知っておくほうが、ずっと安心感があります。

💡 筆者のひとこと

ここらへんの知識を持っていると、見積に来る人がしっかり見てくれているか、判断ができるようになります。  現場でよく見るクレームは、金額についてではなく、しっかり確認をしなかったケースから起きています。

【誤解】停電時の動きは、メーカーで全然違います

「タンクレスは停電したら流せない」と思っている方が多いのですが、実際はメーカーと機種によってまったく違います。「バケツが要る」も「手動レバーがあるから平気」も、どちらもひとくくりにはできません。

各メーカーが公式に案内している内容をもとに整理します。

🔍 メーカー別・停電時の流し方一覧

メーカー公式に案内されている操作バケツ
TOTO ネオレスト本体側面の手動レバーを約4秒引くと便器を洗浄。2日以上の長期停電では、単3電池2本を電池ボックスにセットしてレバーを約30秒引き続けると給水される不要
LIXIL サティス手動レバー(赤)の操作で水位が上がる。ただしタイプや販売期間によって手順が異なるため、自宅の取扱説明書での確認が必要不要
Panasonic アラウーノ停電用ハンドルを回すとターントラップが下を向き、便器洗浄面の水が排水される。そのあと便器洗浄面にバケツで水(約4L)を入れて水をためる必要
※9V角形電池に対応した新型アラウーノCH130/L150/S160は電池で排水可

ご覧のとおり、TOTOとLIXILは手動レバーで給水まで含めて流せる一方、Panasonicは排水を手動で行い、ため水はバケツで補うという違いがあります。同じ「タンクレス」でも中身が違うわけです。なお上の内容は主要シリーズの公式案内をもとにしています。
※2026年8月時点
操作方法は品番ごとに違うので、必ずご自宅の取扱説明書で確認してください。

🔍 停電と断水は、別の話です

上の表は「停電しているが、水道は生きている」場合の話です。地震などで断水していれば、どのメーカーであってもバケツで水を運ぶしかありません。

停電時は手動操作で流せる場合があるが、断水時はどの機種もバケツ給水が必要になることを示した分岐図
停電と断水では、対応がまったく変わります

また停電中は、ウォシュレット・フタの自動開閉・自動洗浄といった電気で動く機能は使えません。これはどのメーカーでも同じです。

🔍 タンク式なら、そもそも何も起きません

比較のために書いておくと、タンク式は電気と給水が別系統です。停電しても、いつもどおりレバーを倒せば流れます。使えなくなるのはウォシュレットだけです。

私としては、停電時の話はタンクレスの弱点として少しおおげさに評価されていると感じます。ただし「手順を知らないと使えない」のは事実です。いざというとき家族の誰も操作を知らない、という状況は避けたいところです。

💡 筆者のひとこと

停電時の手順は、買ってから調べるものではありません。取扱説明書の該当ページに付箋を貼って、家族全員が場所を知っている状態にしておく。これだけで不安はほとんど消えます。

【条件次第】手洗い器なし問題|結局は間取りと慣れ

タンクレスには、タンクの上についている手洗いがありません。ただ、これが不便かどうかは、これまでどう使ってきたかで決まります。

🔍 トイレを出てすぐ洗面なら、気にしなくていい

トイレのドアを開けたらすぐ洗面台、という間取りは珍しくありません。この場合、そもそもトイレの中で手を洗わないという方も多いので、実害はほとんどありません。

一方で、トイレの中で完結させたいという方も相当数いらっしゃいます。理由もはっきりしていて、手を洗わないままドアノブを触ることになるからです。気になる方には、やはり気になります。

ですから判断の軸はシンプルです。いま、そのご家庭が慣れている方式に合わせるのがいちばんです。タンクの上で手を洗ってきた家で、いきなり手洗い無しにすると不満が出やすくなります。

🔍 あとから手洗いを付けると、なぜ高くなるのか

手洗いが欲しい場合、方法はあります。トイレの横に小型の手洗いを付ける、あるいは入口付近まで棚のようなカウンターを作って専用の手洗いを設ける、といった形です。ただし本体も施工費も、それなりの金額になります。

トイレの壁は、ほとんどが石膏ボードです:そのままではカウンターや手洗いを固定できません。壁を開けて下地を入れるか、ボードアンカーで処理する必要があります。

ボードアンカーが推奨されない場合もあります:理由は、そのカウンターを手すり代わりに使う方がいるからです。体重がかかる前提で考えると、ボードアンカーでは心配です。何度も体重をかけていたら、いつか外れるかもしれません。

そしてもうひとつ、単純な話ですがトイレが狭くなります。せっかくタンクレスで広くしたのに、手洗いで埋めてしまうというと本末転倒です。なお、はじめから手洗いのキャビネットと一体になったタイプもあります。収まりはよくなりますが、そのぶんの費用と設置スペースは必要です。

💡 筆者のひとこと

「手洗いが無い=不便」ではなく、「いまその家がどちらに慣れているか」です。ここを読み違えると、広くてきれいなトイレなのに不満だけが残ります。ご家族に一度聞いてみてください。

後悔する人・しない人|チェックリストとまとめ

ここまでの内容を、判断できる形にまとめます。まずは後悔しやすい条件から見ていきましょう。

🔍 後悔しやすい人|タンク式をおすすめします

  • 見た目・高級感だけで決めようとしている
  • マンションの上階や戸建ての2〜3階なのに、水圧を測っていない
  • ひとつのものを長く使いたい(10年後の買い替えを前提にしたくない)
  • 初期費用をなるべく抑えたい
  • トイレの中で手を洗いたい、またはトイレが狭い

🔍 後悔しにくい人|タンクレスを選んでいいと思います

逆に、次のような方であれば、タンクレスは満足度の高い買い物になります。

トイレが広く、別に手洗いがある:手洗い問題が最初から発生しません。より広々とした空間になります。

高級感に、はっきり価値を感じる:この点は本当に別次元です。毎日目に入るので、満足感は長く続くでしょう。

掃除のしやすさを重視する:タンクの裏側のあの掃除が丸ごと無くなります。コスパの話を超えた価値があると私は思います。

「10年後に壊れたら買い替えればいい」と割り切れる:これができる方なら、デメリットは問題になりません。

他にはない機能がある:Panasonicのアラウーノ S160は洗剤(市販の中性の台所用合成洗剤)をセットして泡で洗浄できます。アラウーノ L150には「ナノイーX」による脱臭機能があります。

🔍 私が自宅に設置するなら、こうします

私が自宅に入れるなら、TOTOのピュアレストQRのような標準グレードの組み合わせ便器に、好きなランクのウォシュレットを付けます。

理由は単純で、壊れたときに選択肢が残るからです。ウォシュレットだけを替えられる、グレードを落とすことも上げることもできる。この自由が、結局いちばん安く長く使える形だと考えています。何事もシンプルなほうが強いというのが、15年以上やってきた実感です。

そのうえで、上の「後悔しにくい人」に当てはまるなら、タンクレスを止める理由はありません。大事なのは、費用の構造を知ったうえで選ぶことです。

🔍 この記事のまとめ

  • ✅デメリット7つのうち、しっかり確認するのは3つ
    →水圧・買い替えの自由・工事の追加費用。残りは条件次第か、誤解
  • ✅上階・2〜3階なら、水圧を測ってから決める
    →確定判定は業者の実測。自分でできるのは10Lバケツでの目安確認まで
  • ✅タンクレスは、安いウォシュレットに変えられない
    →純正の取替機能部という道はあるが、その部品保有は生産終了後6年
  • ✅停電時の動きはメーカーで違う
    →TOTO・LIXILは手動レバーで給水まで、Panasonicはバケツが必要(電池対応機を除く)
  • ✅長く安く使いたいなら、タンク式+好みのウォシュレット
    →広さ・高級感・掃除のしやすさに価値を感じるなら、タンクレスでOK

👉 見積もりを取るときに、必ず聞いてほしい2つ

便器の交換は、業者によって提案も金額も変わります。焦って1社で即決せず、複数社に相見積もりを取ってください。そのとき、次の2つを必ず聞いてみてください。

  • 「うちの水圧、大丈夫ですか?」
  • 「床は張り替えなくて大丈夫ですか

この2つに具体的に答えられる業者なら、まず安心して任せられます。

タンクレスをやめてタンク式にする場合、次に迷うのはウォシュレット選びです。そちらは別記事にまとめています。

💡 筆者のひとこと

タンクレスは、決して悪い商品ではありません。ただ「なんとなくかっこいいから」で選ぶには、後から後悔する条件が多い。そこを知ったうえで選ぶのであれば、とてもいい選択肢だと思います。

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設備屋りびっと

住宅設備工として15年以上、現場での提案・設置・交換を行ってきました。給湯器・水栓・トイレ・換気扇・食洗機など、住設機器の選び方や取り付け方を、現場経験を活かしてわかりやすく解説します。 所持資格:第二種電気工事士、ガス機器設置スペシャリスト、排水設備主任技術者、福祉住環境コーディネーター、基本情報処理技術者、kintoneアソシエイト、他多数。

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